金属に触れたり, 食べ物に含まれる金属元素を体内に取り込んでしまうことで症状が現れるアレルギーのことです. このアレルギーは発症するまでに時間がかかる「遅延型アレルギー(Ⅳ型アレルギー)」に分類されています.
一般的にはアクセサリーや生活用品に使用される金属が原因と考えられていますが, 歯科において使用されている20種類以上の金属元素も, 稀にアレルギー症状を引き起こす可能性があるとされています.
皮膚炎, 掌蹠膿疱症, 扁平苔癬, 尋常性乾癬, 湿疹などの疾患をお持ちの場合、中には歯科金属アレルギーと関連している可能性が報告されています. 金属との接触部位と症状の現れる部位とが必ずしも一致せず, 手, 足, 腰などに症状が現れることが多いです.
また上記の疾患がある場合でも, 必ずしも歯科金属だけが原因とは限りません. 歯周病や根尖性歯周炎(根の先の膿)といった慢性炎症の原因となっている歯科疾患の治療をすることで金属アレルギーの症状が軽快する方もいます.
まずは、お口の中の検査をします. この時, お口の中に金属が有るか無いかを調べるだけではなく, レントゲンを撮影し, 歯周病や根尖性歯周炎の有無を調べます. その後, 連携している皮膚科と協力しながら治療を進めていきます. 場合によっては, 皮膚科にてアレルギー検査をしていただくこともあります. その後, 歯周病などの治療と並行して, 金属を取り除く治療を進めます. すでに金属の被せ物がお口の中にある方は, 外す前に新しい被せ物(金属以外の材質でできているもの)を検討します. 保険適応・適応外と様々ありますので, 詳しく説明いたします. 金属を取り除くにあたって金属を削る際, 多少なりとも金属の粉が発生し一部体内に取り込まれるため, 金属除去後に金属アレルギーの症状が一過性に悪化することがあります. 時間と共に軽快することがほとんどですが, 当院と皮膚科にてフォローアップします. 症状が落ち着いた後, 経過観察となります(歯周病が悪化しないように定期的な観察・クリーニングをお勧めします).
現在すでにお悩みの方は, まず, ご相談ください. お待ちしております.
具体的な治療の流れです。
歯科金属アレルギー治療は非常に複雑、かつ、治療期間も長期となります。また、ケースによっては治療費が高額となることもあるため、当院ではメリットやデメリット、リスクを含めた治療内容をしっかりと説明し、ご納得していただいた上で治療を進めております。
1、カウンセリング
・問診票の記入
・お口の中の確認
・歯科金属アレルギーの治療説明
・歯科金属アレルギー治療に関する同意書の記入
2、各種検査、資料採取
・歯周病検査
・レントゲン撮影
・歯性病巣の検索
・(咬み合わせの確認)
・(模型の作製)
3、必要に応じて、連携皮膚科へのご紹介
アレルギー検査は皮膚科で行っていただく必要があるため、金属アレルギーの確定診断を望まれる場合には皮膚科への受診が必要となります。また、金属除去置換療法を当院で行う場合でも、確定診断があることで効果的に進められるため、皮膚科への受診をお勧めしております。
アレルギー検査のみならず、湿疹などの皮膚症状がある場合には、それら治療も皮膚科にて行っていただくことで、より良好な経過をたどる可能性が高くなります。
4、歯性病巣の除去とコントロール
・歯周病の治療とメンテナンス
・虫歯の治療
・(親知らずの抜歯)※炎症の原因となっている場合
5、最終補綴物の相談・同意書の記入
金属の詰め物・被せ物を外す前に、最終的な詰め物・被せ物を決定いたします。
6、金属除去置換療法
・小さい詰め物は白い詰め物に置換します。
・大きい詰め物~被せものは一時的に仮歯を製作し、一定期間使用してもらいます。
※金属を削って除去する際に金属の削片がでるため、アレルギー症状が一時的に悪化することがあります。
7、最終的な詰め物・被せ物の装着
8、メンテナンス
・歯周病が再度悪化して炎症症状が悪化すると、アレルギー症状も再発・悪化する可能性があるため、定期的なメンテナンスを行ないます。
・詰め物・被せ物の経過確認
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